世界でも有名な鉄道王国スイス。全国の駅でみかける印象的な時計は、スイスをめぐる旅行者がスイスの思い出として記憶に残すもの。スイス連邦鉄道(スイス国鉄)が正確に時刻を知らせるだけでなく、スイスらしさを表現する時計をつくりたいと考えて企画し、同社のエンジニア兼デザイナーだったハンス・ヒルフィカーHans Hilfikerが1944年(1952年に改訂)にデザインした鉄道時計です。

その優れたデザイン性は世界的に高く評価されており、「デザイン・ミュージアム・ロンドン Design Museum London」や「ニューヨーク近代美術館 The Museum of Modern Art (MoMA) 」に所蔵されているほか、2012年にはアップル社が製品の時計アイコンに使用したことでも知られています。スイスでは、チューリヒのデザインミュージアムに所蔵・展示されています。


シンプルでモダンなデザインの時計は、白地に時間と分を示す黒の線が付いているだけで数字はありません。時針、分針とも黒ですが、唯一となる赤い秒針がデザインのアクセントになっています。遠くからでもよく見えるようにデザインされたこの大きく赤い円形の印象的な秒針は、かつて駅員が列車を誘導する際に用いた赤と緑の丸板がついた信号棒「シャフナーケッレ Schaffnerkelle」をイメージしたもの。

その赤い秒針が1周するごとに毎分切り替わりのところで1.5秒ストップする、という特徴は他の時計にはないユニークな点です。この点にこだわったデザイナーのヒルフィカーは、ふと時計を目にとめるようにという注意を喚起させるための目的と、列車がすべての運行を終え、時間通りに静かに車庫に入っていくシーンをイメージした意味をこめたと後に語っています。そして、この依頼をうけて時計製造を担当したスイスのモバタイム社Mobatimeでは、秒針が一時停止しても時間が正確にずれないようなメカニズムをつくりました。


この時計をデザインした時のスイス国鉄(スイス連邦鉄道)の狙いどおり、今やステーション・クロックは、スイスを代表するデザインのひとつとなりました。2004年に「スイス伝統のデザインSchweizer Designklassiker」シリーズとしてにつくられたスイスの記念切手の中に、ル・コルビュジェの有名な椅子「グランコンフォート」と皮むき器の原型といわれるREX(レックス)のピーラーとならんで、このステーション・クロックが選ばれました。

2003年のサンクトペテルブルク建国300年記念にはロシアへ100個のステーション・クロックが贈られ、2005年のノルウェー独立100年記念にもこの時計が贈られるなど、”スイス”を象徴するアイコンとなっています。その後、1986年には「モンディーン社Mondaine」がこのステーション・クロックのデザインを使った腕時計シリーズを発売。今ではスイス土産の定番です。

作品情報

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タイトル
スイス・レイルウェイ・ステーション・クロック
種類
Industrial design
作者
Hans Hilfiker (ハンス・ヒルフィカー )
材質
金属(メタル)
製作年
1944年(改訂1952年)
サイズ
87 x 28 cm
所蔵

Zürcher Hochschule der Künste / Museum für Gestaltung Zürich / Designsammlung

Museum für Gestaltung Zürich, Toni-Areal

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