ブラウゼー
Intro
標高887m、カンダー谷にあるコバルトブルーからエメラルドグリーンにきらめく神秘的な山の湖。地下の泉から湧き出る湖水はその特別な色と透明度の高さで有名な湖です。この湖を形成した古代の落石の名残である岩石が点在する、森の木々に囲まれた20万平方メートルの広大な自然公園の真ん中に位置しています。高品質で知られるオーガニック・トラウト(マス)の養魚場もあり、湖の横にあるホテル・レストランで食べることもできるので、ランチと組み合わせるのも良いでしょう。
「青い湖」という意味のブラウゼーは、15,000年以上前の地すべりによる落石で誕生したといわれています。チューリヒの商人ヨハン・リーマン・ボラーJohann Leemann-Bollerが観光客としてカンダー谷(カンデル谷)を訪れた際にこの絶景を発見し、1878年に湖周辺の土地を購入しました。その後、レッチベルグ鉄道Lötschbergbahnの鉄道路線が開通するとともに谷が開発され、観光客が大幅に増加。湖はすぐに人気の観光スポットとなり、湖のほとりには、ホテル・レストランが建てられ、マスの養魚場が設立されました。
地元の住民や観光客を魅了したこの湖と森の織りなす幻想的な絶景は多くの文献でも賞賛されています。旅行ガイドブックの草分けといわれるドイツの出版社ベデガーを創業したカール・ベデカーKarl Baedekerは、1869年に刊行したスイス編でこの湖を「モミの森の右に隠れているのは小さな青い湖です。不思議なほど深い青色。」と紹介。また1885年、スイスの博物学者ヨハン・ヤコブ・フォン・チュディJohann Jakob von Tschudiは「孤独な魔法の森の風光明媚な宝石」と記しています。
その独特な湖水の色から、悲しい少女の伝説も語られるようになりました。恋人の死を悼み、傷ついて湖に入って亡くなった美しい乙女の目が真っ青だったことから、湖の色が青くなったという物語です。その伝説にちなんだ少女の像もつくられれています。
水は光の短波(青)よりも長波(赤)を強く吸収するため、濃い青や青緑の色を映し出します。宝石に例えられるほどの美しい色だけでなく、どこまでも透き通った水のため、水中にある大きな木の幹や岩が、まるで水面のすぐ下にあるようにみえるでしょう。湖の周囲には遊歩道があり、散策がおすすめです。
湖と森は、ホテル・レストラン、養魚場、遊歩道、BBQ施設などが整備された敷地内にあるので、入場料が必要。カンデルシュテークまたはフルッティゲンの駅からバスでアクセスできる人気の観光スポットです。
Blausee Nature Park