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山上の牧草地(アルプ)で牛やヤギを放牧してとれたてのミルクからチーズをつくる高地牧畜の伝統から、アルプス地方ならではの風習や祭りが生まれ、受け継がれています。山上で過ごす夏は、アルプスの夏祭りのシーズンです。とくに独自の伝統が息づくスイス東部のアッペンツェル地方では、民族衣装を着て、ヨーデルなどの民俗音楽(民謡)にあわせて、フォークダンスを踊る祭りが7月末〜8月初旬に開かれます。

アッペンツェル地方のアルプ(山上の牧草地)で夏に開かれるアルプス祭り「アルプシュトベーデ(アルプシュトベーテ) Alpstobede/Alpstobete」。「シュトベーデ(シュトベーテ) Stobede/Stobete 」はもともと木の温もりを感じる居間や小さな部屋を意味する「シュトゥーベ Stube」での集まりを意味しており、そこから、山での集会や社交の場などを表す言葉として、牧夫たちの間で使われるようになり、山上の牧草地を表すアルプAlpがついて、アルプスの夏祭りを示す名前となりました。

山上の牧畜シーズンの半ばにあたる7月中旬から8月初旬にかけて、アルプシュタイン山塊のボレンヴェースBollenwees、エーベンアルプEbenalp、グロース・ロイGross Leu、メグリスアルプ Meglisalpなどアルプスの牧草地で開催されています。

アルプス祭りは、夏を山上で過ごす山岳地方の各地で開催されますが、とくにアッペンツェル地方の「アルプシュトベーデ(アルプシュトベーテ)」は、美しい民族衣装と独特の民俗音楽、ダンスが特徴です。

通常、山の礼拝堂などでミサがおこなわれた後に、皆が集まり、音楽、歌、そして踊りを楽しみます。屋外に設置された木製の舞台の上で、「シュトライヒムジークStreichmusik」と呼ばれる弦楽器の楽団とヨーデル歌手が奏でる独特の民俗音楽にあわせて、フォークダンスのグループが観客と一緒に踊ります。

男性陣は、黄色のズボンと赤いべストというアッペンツェル地方の牧夫・牧童たちに受け継がれている独特の民族衣装を着て伝統の踊り『メーリラートMölirad』を踊ります。また男女の愛の浮き沈みのストーリーを伝統衣装をまとったカップルがパントマイムで表現していく伝統舞踊『ヒェリグ Hierig」も披露されます。

アッペンツェル地方は伝統音楽も独特です。声のみで山間に響き渡るような、裏声(ファルセット)と地声を高速で切り替える歌唱法で、アルプスの山々で仲間や家畜と呼び交わす合図として、あるいは山のこだまを利用した歌として発達したといわれるスイスアルプス伝統のヨーデル「ナトゥール・ヨーデルNaturjodel」。とくにアッペンツェル地方では「ルッグーセリRugguusseli」、「ツォイアーリZäuerli」または「クラウゼツォイアーリChlausezäuerli」と呼ばれています。そのほか祭りでは、人をからかう(Ratz)小唄(liedli)という意味の皮肉たっぷりのユーモラスで陽気な「Ratzliedli ラッツリードリ」というアッペンツェル地方独特の民謡を聞くこともできるでしょう。


開催日:7月〜8月
場所:アッペンツェル地方アルプシュタイン山塊 Appenzell/Alpstein