アーティスト
沼田侑香の
バーゼル紀行
Intro
国内外で精力的に活動するアーティスト、沼田侑香さんが、自身初となるスイス旅で、アートの聖地として知られるバーゼルを訪ねました。世界トップクラスの美術館があり、近代建築・デザインの中心地、中世の偉大な医師・化学者・錬金術師のパラケルススゆかりの地で「ノヴァルティス」「ロッシュ」など製薬メーカーの本社があるバーゼルは、昔から芸術と薬学に興味を持っていたという沼田さんの憧れの地。バーゼルでの感動と発見、出会いの旅をご紹介します。
バイエラー財団(美術館)
バーゼル郊外のリーヘンにある世界トップレベルの美術館。アートディーラーとして名を馳せたバイエラー夫妻が蒐集した珠玉のコレクションを中心に約250点の名作を所蔵、展示しています。作品の一部として有名建築家レンゾ・ピアノがつくりあげた美術館の建物も必見です。
詳細をみるバーゼル美術館
多くのミュージアムが集結する古都バーゼルを代表する美術館。美術館として1671年から一般公開された世界最古の公立美術館ともいわれています。4000点の絵画、彫刻作品、30万点のデッサンやポスターなど、約700年に渡るアート・コレクションはヨーロッパ屈指のレベルを誇っています。
詳細をみるバーゼル市庁舎&マルクト広場
月曜から土曜まで果物や野菜のマーケットが開かれ活気あふれるマルクト広場。中世からの歴史を誇る赤い印象的な市庁舎(ラートハウス)の建物は、現在でもバーゼル市の市庁舎として使われています。
ティンゲリー美術館
バーゼル旧市街のライン川そばにある、キネティック・アート(動く美術作品)の巨匠、スイス人芸術家ジャン・ティンゲリーの世界最大のコレクションが収蔵されている美術館。有名建築家マリオ・ボッタがデザインした建物にも注目です。
詳細をみるヴィトラ・デザイン・ミュージアム
バーゼル郊外のヴァイル・アム・ライン(独)にある、有名建築家フランク・ゲーリーによって設計された、世界でも有数のデザイン博物館。スイスで1950年に創業したデザイナーズ家具やインテリアのトップブランド「ヴィトラ社Vitra 」の工場敷地で、建築界のトップスターたちの作品が建ち並ぶ「ヴィトラ・キャンパス 」のなかにあります。
詳細をみるDay1 8月8日:スイス・バーゼル到着
▶︎バーゼル
人生初めてのスイス、バーゼルに到着しました。
夜の9時に到着したのにまだ空は明るくて不思議な気分です。慣れない都市ですが駅前にトラムがあり早速乗車して宿泊先のホテルに向かいました。 泊まったホテルではウェルカムスイーツとしてマカロンが机の上に用意されていました。日本では湿気がひどいので絶対に個包装されていますがスイスの夏は湿気が全くないのでこの状態でもサクサクのまま。冷蔵庫にもドリンクがいくつか用意されていておもてなしがしっかりされていました。
夜ご飯は電車の中で軽く済ませたので、街の風景を見るために少し散策をしました。21:30にはもう日が落ちて一気に夜の雰囲気になります。ホテルの周りにはレストランやバーなどもちらほらあり、外のテラスで飲める様子だったので私も小さなカフェバーを見つけて入りました。地元のビールをお薦めしてもらって一杯いただきました。店内でも飲めますが、外にたくさんテーブルが用意されていたので外でのんびり過ごしました。虫もおらず快適に過ごせるので夏の夜のバーゼルは本当に過ごしやすいなと初日で感動しました。
Day2 8月9日: バーゼル街歩き
朝はホテルの朝食をいただきました。バターやチーズの種類がたくさんあり、チーズが大好きな私には天国のようです。パンもクロワッサン、バケット、穀物の入ったパンなどいろんな種類から選べます。ホテルを出ると目の前の広場ではマーケットが開かれていました。地元の野菜やお肉、ソーセージ、お花屋さんなどいろいろなお店が出店していて街の人たちもそこで朝食を取ったりしています。
この日はバーゼル観光局のサラさんと街を散策しました。街の中でアートを体験できるとのことでいろいろな場所に連れて行ってもらいました。まず最初のアクティビティはアプリをダウンロードして指定のポイントに行くとARを使ってアートを見ることができるという近未来な作品鑑賞体験でした。スマホを通して見ることで現実世界の中に3DCGで作られた作品が浮かび上がるのです。作品は動きのあるものや、音楽がついたものもありました。アプリさえダウンロードすれば作品を鑑賞をしながらも街の風景を楽しむことができるので街の印象と作品が紐づけられてとても強い記憶に残ります。
街を散策中に可愛いパン屋さんを見つけました。絵本に出てきそうな店構えで菓子パンのような甘いパンもたくさん売っています。
街を歩いていると、パブリックアートにリチャードセラの作品が!サラさん曰く、夜は若者の溜まり場にもなっており、立ち入り禁止になっているわけではないので作品にも触れる様になっています。改めてこの大作を管理できるバーゼルはアートの街だと改めて実感しました。写真をたくさん撮っていましたが街の人は興味も持たず通り過ぎていく人が多かったです。(リチャードセラの作品だということを知らない人も多いのでは?)
セラの作品の向かいにはティンゲリーの噴水の作品もあります。涼しげで気持ちがいいので多くの人がランチをとったり子供と遊んだりしていました。
しばらく歩いてライン川のあたりも散策しました。都会の中を歩いていたかと思うと突然大きな川が現れるのもバーゼル特有の面白い光景です。川の反対岸へ渡るのに小さな船に乗って反対の岸へ行きます。エンジンなどは使わず人の手を使って向こう岸に行くのですこし時間がかかりますが川の上をゆったり流れる感覚や、風景を見ながら太陽の光を浴びる経験は人間にとってとても重要だと思い出させてくれました。
溺れた人を救出する訓練を警察官が行っていました。
ランチにはバーゼル美術館のレストランへ。一通りメニューを見たけれど、日本のように写真があるわけではないので全くわからずでした。私はなんとなく理解できたバーベキュープレートを注文してみました。合わせてスイスといえばの飲み物ということでrivellaを注文。乳製品を作る時に出る水分から作られた飲み物らしいです。見た目はコーラの様なのですがさっぱりしていて少し酸味も感じました。美味しかったです。デザートにはレモンタルトを注文しました。タルト生地の内側にチョコレートが塗られていて、酸っぱいクリームとチョコレートの香りがマッチしていてとても美味しかったです。あれは絶対もう一度食べたい!と思いました。
その後サラさんとは一旦お別れしてバーゼル美術館で作品を鑑賞しました。常設展の展示スペースの広さにびっくり!とにかく天井も高く、空間も広くてお客さんがはけて自分一人になると不安になるくらいの広さです。ソル・ルウィットの壁一面に描かれた壁画作品がありとても贅沢なコレクションが展示されています。ヨーゼフボイスの作品も日本では補完が難しくあまり見ることはありませんが一部屋使ったインスタレーションも展示されていてとても充実した展示でした。 日本と違った点で素晴らしいなと思ったのが、この様な大きなミュージアムで作品を販売しているスペースが必ずあるので、展示を見たついでに作品の購入もできるという点です。エディションのついた写真や版画作品もありますが、一点ものの作品もありキャプションの横に金額も提示されているのでアートの価値を知ることもできるのは良いシステムだと思いました。
とにかく広いので休憩している人もたくさんいます。
15時ごろにイシドラさんと待ち合わせしてライン川を1時間ほどツアーしてくれる船に乗りました。乗客は観光客もいましたが地元の方も多く乗っていて休憩感覚で乗船している人も多かったです。船の上にはバーもあるのでビールを飲みながらのんびりバーゼルの川沿いの街を眺めることもできました。
夜ご飯はライン川のレストランへ。レストランは川にせり出すような形で橋のようにに建築されていました。夜ご飯といいながらも外は相変わらずとても明るいので変な感覚です。外でご飯を食べるのも日本ではあまりない経験なのでとても新鮮でした。川の上でも湿気がなくて、空気がカラッとしているので気持ちよかったです。私はグリルされたサーモンとおすすめのワインとカクテルをいただきました。どこのレストランも素材を生かしたお料理が多いので新鮮な野菜とお魚が食べられてヘルシーです。
Day3 8月10日: 電動自転車で郊外へ
この日は朝からe-bike(E-バイク/電動自転車)でバーゼルから少し市外へツアーでした。e-bikeはバーゼル観光局が貸出をしていて、少し遠くに行くなどの観光にとても便利です。まずはバイエラー財団の美術館へ向かってかなりガタガタした補整されてない道を通りながら川沿いを走りました。こういった川沿いではバーベキューなども楽しめるそうで、街から10〜15分程度で自然の中に入っていけるのも日本と違っていいところだなーと思います。もちろんバーベキューをするのにも特に場所代もかかりません。
バイエラー財団(美術館)に着くとかわいい鳥籠の作品がゲートでお出迎え。よーく見てみると鳥籠は一部が歪んでいたり、外れていたりして中の鳥は全て逃げてしまったようです。カラフルでユーモアのある作品が入り口の上空に吊り下げられていました。作品をくぐって進んでいくと美術館の入り口にモネの絵画をイメージしたようなハスの浮かんだ池が見えます。私が行った時はモンドリアンの企画展が行われており、若かりし頃からあのモンドリアンの幾何学的なペインティングや色に至るまでの作品が一挙展示されていました。
最初はモンドリアンも印象派などの時代の波に飲まれながら風景画を描いていましたが、時が経つにつれて線がシンプルになりあのモンドリアンの絵画へと変化していくのです。彼の心境がどうしてこのように移り変わったのかはわかりませんが、自分の信じる世界を貫き通す勇気がモンドリアンの代表作になったのかなと思いました。
バイエラー美術館の目玉は常設展です。横に長いモネの池の作品を収蔵しており、入り口にあったハスの池もその作品に合わせて設計されたとのこと。私が行った時はモンドリアンの展示の関係で位置がずれていましたが、本来は池の前にモネの作品が展示されていて、現実の世界と過去のモネの絵の中の世界をつなぐように見えるとのこと。次回は是非その風景を見てみたいです。
常設展にはリヒターのガラスのシリーズや、グレーペインティングのシリーズも展示されていました。本当に所蔵作品のクオリティが高すぎて、常設展だけでも十分すぎます。もう一つとても印象的だったのが、出入り口に飾られている鏡をお客さんは普通に素通りしていましたがよくみるとキャプションがついていて、なんとリヒターの鏡の作品でした。特にショーケースに入っているわけでもなかったのでみなさん普通に通り過ぎていてとても面白かったです。
ランチはそのままバイエラー美術館の付属のレストランでとりました。私はベーコンのソースがついたプレートが気になったのでそれを注文。そしてお決まりのrivella。美味しくて気に入りました。相変わらずメニューには写真が無く文字情報だけなので想像で注文しました。
お腹もいっぱいになったところで、再度e-bikeのツアーで丘へいきました。かなり飛ばして10分ほど乗っていくとドイツとの国境を出たり入ったり。そこら辺はかなり曖昧なので家の見た目もそんなに変わらずでしたが、現地の人からするとドイツの家は少し違うとのこと。わたしにはさっぱり違いがわかりませんでした。
少し漕ぎ進めていくといつのまにか丘のエリアに突入。街の中にあるパブリックアートを探しながら登っていくと見事な葡萄畑に到着。きれいに整列されたぶどうの木はワイン用に育てているものだそう。かなりの傾斜がある広大な土地にその畑は広がっており摘む作業の大変さを考えてしまいました。
さらに丘を進んでいくと見晴らしの良い場所に到着!そこには大きな椅子のパブリックアートもあり、登ってみたり少し遊んでしまいました。丘の上から下を見てみると不思議な形をした建物がいくつかありました。そこを目指して下っていくとのことで次は一気に下りの道に。石もゴロゴロ転がっていてかなり怖かったけど、自然のアトラクションみたいでかなり刺激的でした。
不思議な建物のある場所に到着すると、そこはvitra(ヴィトラ)の工場でした!工場はいろいろな建築家がパートごとに設計をしているらしく、日本の建築家もその設計に参加していました。工場の近くには何個かギャラリーや美術館の施設があります。ヴィトラ・デザイン・ミュージアムもまた不思議な形をした建築で、中に入ると自分がどこにいるのか本当によくわからなくなってしまいます。中に置いてある家具や小物も可愛くてこんな部屋に住みたいなーと思いました。
夜ご飯は念願のチーズフォンデュです。スイスと言ったらチーズフォンデュだと聞いていたのでとても楽しみにしていました。待ち合わせのお店は伝統的な店構えで、レストランの外(ほとんど歩道に迫り出しています。)の席に案内してもらいました。一緒に行ってくれたバーゼル観光局のスタッフはスイスにずっと住んでいるというのにもかかわらずチーズフォンデュを食べたことがないとのことだったので2人で本場のチーズフォンデュにチャレンジしました。わたしは日本で何度か食べたことがあって野菜やソーセージなどのさまざまな具材をディップしていましたが、本場のスイスではパンのみがてんこ盛りに出されるシステムでした。チーズにはたっぷりと白ワインが使われているので苦味もあって大人の味という感じでした。同じお店でラクレットもいただきましたが、こちらは野菜の上に溶けたチーズをかけてくれるスタイルでした。少し塩味の強いチーズなので野菜との相性もバッチリ。特にポテトとの相性が最高でした。
帰り道、ホテルの前の広場でシャボン玉を飛ばすおじいさんがいました。子供たちも楽しそうで微笑ましかったです。
Day4 8月11日: アートツアー&ライン川水浴
この日の朝はバーゼルの壁画やグラフィックアート、パブリックアートなどのツアーをしているフィリッペさんにバーゼルの街を歩きながら作品の説明をしてもらいました。グラフィックアートについてはあまり詳しく知らなかったので一つずつ周りながら説明してもらえるのはとても良い機会でした。フィリッペさんはこのようにパブリックアートのツアーをやったり、子供にお菓子作りを教えるなどの仕事をしていると教えてくれました。日本では就職して一つの仕事に専念する形態が基本であるのと比べて、ヨーロッパでは自身の持っている知識を使ってフリーランスで働く人もたくさんいるとのことでした。日本と比べると根本的な考え方が違うと改めて感じました。
ツアーが終わると昼にライン川で泳ごう、と連絡が来ました。この日は快晴で泳ぐのにちょうど良い気温でした。事前にライン川で泳ぐチャンスがあると聞いていたのでとても楽しみにしていたイベントの一つで、ワクワクしながら待ち合わせ場所に向かいます。バーゼル観光局のオフィスに案内され、そこで水着に着替えて川に出発しました。ライン川にはバーゼル観光局のメラニーが一緒に来てくれました。彼女はランチタイムになるとオフィスを飛び出してお昼を食べるより先に川を泳ぐほどライン川のスイミングが好きとのことでメラニーのいつもの習慣に同行させてもらいました。ランチタイムはそこまで川は混んでおらず、川の土手でのんびりと寝っ転がっている人やご飯を食べている人がちらほらという感じでした。
ライン川を泳ぐときには必須アイテムがあります。フィッシュと呼ばれるビニールバッグなのですが、そこに洋服や靴、タオル、貴重品などを入れて口を閉じ、体にかけてそのまま川に入ります。フィッシュの中に閉じ込められた空気が浮き輪の様に浮いてくれるのでフィッシュにしがみついてぷかぷかと浮くだけて川に流されていくのです。泳ぐというよりかは浮かぶだけでとても気持ちがよかったです。バーゼルに住む人のほとんどの家やオフィスにはエアコンがないため、メラニーのように川に入って涼むのもポピュラーだそう。
ぷかぷかと流れ着いて川から上がり、フィッシュからタオルを取り出し体を拭きながらレストランに行きました。こんな格好でいいのかなとキョロキョロ周りを見渡すとレストランにいる人の半分近くの人が同じく水着を着ていたり髪の毛が濡れていたりと川で泳いだ後にそのまま来る人も多かったです。メラニーと、土手で待っていてくれたサラと3人でランチを楽しみました。
事前の予定では現地のアーティストと会って話ができるとのことでしたがアポが取れず、次の日になるかもとのことでバーゼルの美術館や博物館などを回れるミュージアムパスをもらったのでそのチケットを使って自由に回ることにしました。
▶︎ミュージアムパス「スイストラベルパスで500以上の美術館・博物館が無料」
ランチをとったあとレストランからすぐ近くの解剖学博物館へ行きました。一階は病気の過程や、日常生活から起こりうる生活習慣病のリスクをまとめた資料の展示になっていて、2階のエリアに人体のパーツが展示されていました。かなり衝撃的な内容で、人によってはショッキングな内容だったので覚悟を持っていかないといけないかもしれません。しかし、医学の研究材料として保管されているものなので一つずつの説明もしっかりついていて読んでいくと勉強になり個人的には興味深い展示でした。
夜はスイスにあるa-space galleryで働くロイの地元へ遊びにいきました。彼とは日本やブタペストのアートフェアなどでお世話になっていてバーゼルを紹介してくれたのもロイです。 待ち合わせの駅から少し歩くと大きなビール工場があり、そこに併設されたレストランに行きました。ビール工場はお城の様な作りになっていて、お城を改装して作ったのかと思ったのですがビール工場のために作ったそうで、お城っぽくデザインされているとのことでした。
ビール工場のレストランということでビール飲み比べセットを注文しました。5種類のビールが飲み比べできるのですが、一杯の量が多くてビールだけでお腹がいっぱいになってしまいそうでした。お料理はチーズチキンカツの様なフライを注文しました。これもボリューミーでしたがビールにあう味でとても美味しかったです。
Day5 8月12日: ミュージアムめぐり
ついにバーゼル旅行も最終日。今日のマーケットはいつもよりお店が多くて賑わっていました。
ミュージアムパスを使って、片っ端からバーゼルにあるミュージアムを周りました。
おもちゃ博物館 [Spielzeug Welten Museum Basel]
ここにはおままごとで使うようなお人形がびっしりと展示されていました。シルバニアファミリーのような家の中に人形が生活しているかのように展示されています。お客さんはほとんどが子供連れで来ていて、ボタンを押すと仕掛けが動くような細工がされているブースもあり子供は楽しんでいました。ガラスケースに街の風景が広がってい流様な展示もありパン屋さんや洋服の仕立て屋さん、お肉屋さんのような商店の風景が展示されていました。人形の顔は可愛いというわけではないのでミニチュアの街の風景を楽しむような作りになっています。特に人形の説明や成り立ちなどを知る様な場所ではないので古い人形やミニチュアを見るのが好きな人にはおすすめのスポットです。
ティンゲリー美術館 [Museum Tinguely]
ティンゲリーはスイスのアーティストで、街中にもティンゲリーの噴水の作品があるなどバーゼルの市民にも親しまれているそうです。そんなティンゲリーの美術館がバーゼルにあり、展示内容も機械仕掛けの作品がたくさんありました。作品は鑑賞者がスイッチを押すと動く様になっているものもあり仕組みが複雑でずっと見てしまいました。一階の大きなフロアには大型のインスタレーション作品がありこの作品も時間によって動く仕組みになっていました。ティンゲリー美術館にはギャラリースペースの様な場所もあり現代アーティストの作品展示もありました。私が行った時の企画展では大きな印刷作品があり、被写体に日本の工具メーカーのmakitaが写っていて個人的にこんなところでmakitaの製品を見られるということに興奮してしまいました。
広いフロアではパーフォーマンスの記録作品が放映されているスペースもあり、そこの中心でまさにパフォーマンスの準備が行われていました。パフォーマンス自体は見ることができなかったのですが、準備の段階でもこれから何が起きるのかわからないワクワクを体験できました。
バーゼル自然史博物館 [Naturhistorisches Museum Basel]
バーゼルには博物館もあります。博物館はその都市の特徴を知ることができるので旅行に行くと色々な博物館を訪れたことがありますが、特にバーゼルの博物館は剥製やレプリカの数と展示の方法が全体的にとても面白いと感じました。
動物の剥製はレッドリストのゾーンがあり、世界の絶滅危惧種の剥製がケースに入って保管されています。剥製はブロックごとに生息地に合わせた様な植物なども一緒に展示されていて動物のいなくなった世界のようで近未来を感じました。剥製とその骨格標本が並んで展示されているのも面白い展示方法だと思います。
階段を降りると吹き抜けの階段にキリンの剥製がいるのもゾッとします。自然の中ではなく建物の中に共存する様に展示することでスケール感が強く伝わりました。
人類の進化過程を展示するコーナーでは特殊マスクのような技術を使って当時の人類の顔をDNAや骨格から分析した情報をもとに復元していて、造形の細かさに見入ってしまいました。
薬学歴史博物館 [Pharmazie-Historisches Museum Basel]
スイスのバーゼルは大きな製薬会社があるなど中世から製薬で有名な都市だそうです。錬金術なども歴史的に記録があるそうで錬金術の実験室の復元展示もありました。もちろん錬金術だけでなく薬に関係する物品や資料もたくさん展示されています。ヨーロッパの薬壷の展示は壺の形や焼き付けられている書体などの総合的なデザインがとても可愛く、現代でも香水などのデザインのパッケージで見ることも多いです。
薬の博物館なので中国の漢方や日本の江戸時代の薬などの資料もありました。製薬工場の再現空間もあり、そこにも可愛い壺や道具などが展示されていて薬の知識がなくても楽しめました。一階のショップには石鹸やハーブティー、化粧品などが販売されているので展示を見たついでにお土産として買っていくのも良さそうです。
最後のディナーを食べようと街を歩いていると5−6チームに分かれた演奏隊たちがマーチングしながら街を練り歩いている光景に遭遇しました。お祭りのようでしたが2時間ほど演奏のバトルが終わるとみんな散り散りになって解散していきました。バーゼルの方に聞きましたがなんのイベントかわからないとのことで突然大きな音での演奏が許されるのも寛容だなと思います。
ふらふら歩いていると伝統的な風貌のレストランがあったのでなんと無くここに決めて最後のディナーをいただきました。メニューがドイツ語なので相変わらず読めず、ウィーンで食べたことのある伝統料理のシュニッツェルだけわかったのでので注文しました。デザートにミントのアイスクリームを頼みましたがなぜかチョコレートアイスもついてきてかなりのボリュームです。とにかく食事の量は思っているより多いので気をつけなければと最後になって気づきました。
帰りの新幹線でスイスの山の風景を見ることができました。
バーゼルの夏は気候が良くて、太陽もとても気持ちがいいので日本の夏の湿気っぽい暑さから逃れるためにもバカンスでまた訪れたいです。
沼田侑香 Yuka Numata
1992年生まれ、千葉県出身。2019-2020年ウィーン美術アカデミーに留学。2022年東京芸術大学大学院修了。国内では北海道札幌市で行われた「Sapporo Parallel Museum」や千葉県市原市で行われた「USHIKU REDESIGN PROJECT」などの地域活性プロジェクト、海外ではイタリアのトリノで行われた「The Others art fair」やハンガリーのブタペストで行われた「ART MARKET BUDAPEST」などに参加するなど、国内外で作品を発表。デジタルで加工したイメージをアイロンビーズを使って立体化し、デジタルとアナログの世界を行き来するような新しい絵画表現にも挑戦している。
