世界遺産「カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林」
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植物・動物の多様性を誇るヨーロッパのブナ科の原生林の世界自然遺産に、スイスのソロトゥルン州ベットラッハシュトックとティチーノ州ヴァッレ・ディ・ロダーノにある古代ブナ林が、2021年7月に追加登録。世界遺産として今回で3度目のエリア拡張となり、計18カ国にまたがる94カ所の森林からなる自然遺産になりました。
2007年にウクライナとスロバキアが共有する「カルパティア山脈のブナ原生林」として登録されましたが、同種の価値をもつブナ原生林がヨーロッパ各国にあることから、2011年、2017年にエリア拡張。2021年7月の第44回世界遺産会議で、スイスの他にボスニア・ヘルツェゴビナ、チェコ、フランス、イタリア、モンテネグロ、北マケドニア、ポーランド、スロバキアのブナ林が追加され、現在、18カ国の94カ所のブナ林で構成される98,124.96ヘクタールの広大なエリアでの世界自然遺産となりました。
過去100万年にさかのぼる氷河期の間、ヨーロッパブナ(Fagus sylvatica)は、ヨーロッパ大陸南部などに移動し、この不利な気象条件を乗り越え、生き延びています。そして約11、000年前の最後の氷河期のあとの数千年の間に、さまざまな気候、地理的、物理的条件に適応しながら、アルプス山脈からカルパティア山脈、ピレネー山脈までブナ科の原生林は広がっていきました。
これらのブナ科の原生林には、貴重な古い樹木があり、ブナ科の木々のほかにも共生関係にある多くの種の遺伝的ストックをつたえ発展しています。標高によって多彩な植生がありますが、ブナ、ナラ、カエデ、ボダイジュ、トネリコなどの西洋種の木々が生育しています。落葉した葉がつもり森はさらに豊かな植生、動物相をうみだしています。
登録範囲の森林には、確認されているだけでも約480種の菌類、400種をこえるコケ類、1100種以上の維管束植物、70種以上の哺乳類、20種の魚類、10種の両生類、8種の爬虫類、約100種の鳥類などの棲息も確認されています。
ベットラッハシュトック Bettlachstock
ジュラシック(ジュラ紀)の名前の由来となった、フランスとスイスの国境でもあるジュラ山脈の一帯。ソロトゥルン州のジュラ地方にある古代ブナ林で、35年前に州の自然保護区に指定されてから手付かずの自然が残されています。古い木々の割合が多く、最も古い樹木は200年以上前のものです。
自然保護区に指定されているエリアは、195ヘクタールの森林保護区に、牧草地など周辺に広がる100ヘクタールのバッファーエリア(緩衝地帯)があります。
ヴァッレ・ディ・ロダーノ(ロダーノ谷)Valle di Lodano
スイス南部イタリア語圏、ロカルノ近郊のヴァッレマッジア地方にある支谷。谷を流れるマッジア川の下流のロダーノ村を中心として枝分かれした谷は、動植物が種類が豊富で、希少な生態系が残る大きな森林保護区があります。約806ヘクタールの古代のブナ林は、約6000年前の最終氷河期に続く南アルプス地域のブナ林の拡大の特別なモデルケースです。気候的および地質学的な遷移したエリアで、高さと勾配のある山地、珪質岩盤など、世界遺産に認定されたヨーロッパに残る特別なブナ林(ブナが優位の森)の特徴を示しています。
<ユネスコ登録データ>
■登録名(英語):Ancient and Primeval Beech Forests of the Carpathians and Other Regions of Europe
■登録年:2007年(拡張/2011年・2017年・2021年)
■分類:自然遺産
▶︎Ancient and Primeval Beech Forests of the Carpathians and Other Regions of Europe | UNESCO World Heritage Centre
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