春の花風景
Intro
春の訪れとともに温暖な湖畔沿いや南部のリゾートから、花が咲き始めます。とくに美しく手入れされた庭園や公園、花壇で、ツツジ(ロードデンドロン)やチューリップ、アイリス、バラなど、色あざやかな園芸種の花々が咲き誇ります。スイス北部や西部に広がる谷間の平原や丘陵地で、林檎やサクランボ、アプリコットなどの果物を栽培しており、そんな果樹園に咲く花々も、春を代表する美しい花風景のひとつです。
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カメリア(椿)
学名:Camellia japonica
独語:Kamelie /仏語:Camellia /伊語:Camellia
約300種
- 3月〜5月 開花時期
- 開花エリア ティチーノ州ロカルノほか
学名が「カメリア・ジャポニカ」というように日本が原産と考えられているカメリア(和名:椿)。19世紀に西洋に渡った椿が改良されて、色も形も華やかにさまざまな品種があります。スイスでは、とくに冬でも温度が下がらない温暖なティチーノ地方でよく栽培されてきました。なかでもロカルノ周辺はカメリアが多いことで有名。2005年には湖畔の遊歩道に『パルコ・デッレ・カメリエ(カメリア公園)』がオープン。3月末に開催される「カメリア・フェスティバル」は春の風物詩になっています。そのほか、ロカルノとアスコーナの対岸にあたる「ガンバローニョ植物園」では約950種のカメリアがあります。
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チューリップ
学名:Tulipa
独語:Tulpen,仏語:Tulipe, 伊語:Tulipa
約150種類
- 3月〜5月 開花時期
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開花エリア
温暖な地域の庭園・公園
おすすめスポット:モルジュ
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ロードデンドロン(ツツジ/シャクナゲ/アザレア)
学名:Rhododendron
独語:Rhododendren,仏語:Rhododendron,伊語:Rododendro/Azalea
約1000種
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4月〜6月
開花時期
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開花エリア
全国各地の公園や庭園
とくにカローナ「サングラート公園」やチューリヒ郊外リッフェルヴィールの「ゼレガーモーア」
アジアからヨーロッパに持ち込まれ、園芸種として発展したロードデンドロン。日本のように、ツツジ、サツキ、シャクナゲなどの細かい区分はありませんが、さまざまな品種が栽培されています。スイスでは、北から南まで各地の公園や庭園などに植えられているので、ピンク、白、赤など、さまざまな種類の花々をみることができるでしょう。とくにチューリヒ郊外のリッフェルヴィルにある広大な自然園「ゼレガーモーア」は、園芸好きが集まる人気のスポット。5月〜6月初めには色とりどりの花が楽しめます。
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ナルシス
学名:Narcissus Poeticus
独語:Weiße Narzisse/Dichter-Narzisse
仏語:Narcisse/Narcisse des poètes/Jeannette Blanche
伊語:Narcissus poeticus
- 4月下旬〜5月 開花時期
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開花エリア
レマン湖地方:モントルー&ヴヴェイ
プレッティガウ:ゼーヴィス周辺
スイセン属の花。西欧でうまれた種の花で、ギリシア神話で”ナルシズム”という言葉の由来となった少年ナルキッソスの化身といわれています。主に、標高1000〜2000mくらいの適度に湿気のある草原で生育。ドイツ語でMontreux-Narzisse(モントルー・ナルシス)とも呼ばれるほど、レマン湖畔のモントルー周辺の山々に群生しています。かつては、モントルー/ヴヴェイ地方の山の斜面が遠くからも真っ白にみえるほど、花が群生していたことから「五月の雪」と呼ばれ、昔から愛されてきた特別な花です。19世紀のベルエポック時代にはナルシスブームがおこりました。近年、群生地が減少し、絶滅の危機が心配されるようになり、1999年にスイス景観保全基金の保全地区に指定。地元に保護協会(リヴィエラ・ナルシス)が発足し、ナルシスの群生を守り伝統の風景を取り戻すための活動に取り組み始めました。現在は、ナルシスの花の植生や魅力を広く知ってもらい保護運動への意識を高めることを目的に、保護協会や地元観光局の主催でガイドと一緒にナルシスの野を訪ねるウォーキングツアーなども企画されています。
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桜(西洋サクラ)
学名:Prunus/Cerasus
独語:Kirsche,仏語:Cerisier, 伊語:Ciliegio
- 3月下旬〜5月初旬 開花時期
- 開花エリア ツーク湖畔、フリックタール、バーゼル地方、ベルン「ローゼンガルテン(バラ公園)」
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アイリス(イリス)
学名:Iris
独語:Iris(Schwertlilien), 仏語:Iris, 伊語:Iris - 5月〜6月 開花時期
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開花エリア
全国各地の公園・庭園
おすすめスポット:
モルジュ郊外「ヴュイユラン城」、バーゼル「メリアン・パーク」